「笠間治雄・最高検次長検事の話 他人の住居の平穏の侵害が、表現の自由の名の下に許されないのは当然で、妥当な判断と考える。」
これってなんですかね。ビラを配布しただけで「他人の住居の平穏の侵害」になる?
ビラが配られただけで平穏の侵害と感じる住民が実際どれだけいるのかなあ。
うちのポストにはいろんなビラが毎日のように入っているけれど、入れた人を法的に罰するほどの「平穏の侵害」とはおもわないよ。
いらないビラは読まないで捨てるだけだし。
で、それがまた「表現の自由」の権利よりも上位に」位置する?
常識を逸した判断で恣意的な判決の典型でしょう。
でも、これからは住民が通報すればきっと検挙されて有罪になるんでしょうね。たかがビラ配り、されどビラ配り。留置場覚悟か・・。
いやな世の中だね。戦前に復帰かい。
ビラ配布:防衛庁官舎に立ち入り…3人の有罪確定へ
自衛隊イラク派遣反対のビラを配るため東京都立川市の防衛庁(当時)官舎に立ち入ったとして、住居侵入罪に問われた市民団体メンバー3人に対し、最高裁第2小法廷(今井功裁判長)は11日、上告を棄却する判決を言い渡した。全員を罰金刑の逆転有罪とした2審・東京高裁判決(05年12月)が確定する。小法廷は「3人の行為を罪に問うことは、表現の自由を保障した憲法に違反しない」と述べた。
3人は「立川自衛隊監視テント村」のメンバー。2審は練馬区職員、大洞(おおぼら)俊之(50)と介護助手、高田幸美(さちみ)(34)の両被告に罰金20万円を、会社役員の大西章寛(のぶひろ)被告(34)に罰金10万円を言い渡し、弁護側が「ビラ配り目的の立ち入りを有罪としたのは憲法違反」と上告していた。
判決は、官舎共用部分を管理する自衛隊当局がビラ配りを禁止する表示をしていたことや被害届を出したことから、「住居侵入罪が成立し住民の被害も軽くない」と述べた。
そのうえで、表現の自由について「民主主義社会で特に重要な権利だが、他人の権利を害するのは許されない」と指摘。「ビラ配布という表現の自由の行使であっても、管理者の意思に反して官舎に立ち入るのは、住民の私生活の平穏を害する」と結論付けた。
2審判決によると、3人は04年1月、官舎内に立ち入り、各戸の玄関ドア新聞受けにビラを入れた。大洞、高田両被告は同2月にも立ち入った。1審・東京地裁八王子支部は04年12月、「正当な政治的意見の表明で、罰するほどの違法性はない」と全員を無罪としたが、2審は「表現の自由は尊重されるべきだが、他人の権利を侵害してよいとはならない」と1審判決を破棄していた。【北村和巳】
▽笠間治雄・最高検次長検事の話 他人の住居の平穏の侵害が、表現の自由の名の下に許されないのは当然で、妥当な判断と考える。
▽被告・弁護側の話 残念で悔しい。権力者が気にいらない意見を言う者に刑事罰を科すことに、最高裁がお墨付きを与えた。さまざまな市民運動に強い影響を与える。
毎日新聞 2008年4月11日 15時49分
反戦ビラ配布処罰は合憲 最高裁が上告棄却 罰金刑が確定へ
2008年4月12日 朝刊(東京新聞)
東京都立川市の防衛庁(当時)宿舎の新聞受けに、自衛隊のイラク派遣に反対するビラを許可なく入れたとして、市民団体のメンバー三人が住居侵入罪に問われた事件の上告審判決で、最高裁第二小法廷(今井功裁判長)は十一日、「表現の自由は無制限に保障されるわけではなく、他人の権利を害する手段は許されない」と述べ、被告側の上告を棄却した。
一審の無罪判決を破棄、三被告を罰金刑の有罪にした東京高裁判決が確定する。裁判官三人一致の意見。
三人は市民団体「立川自衛隊監視テント村」の大西章寛被告(34)、高田幸美被告(34)、大洞俊之被告(50)。
政治的主張を記したビラの配布を禁止する行為が、憲法で保障された「表現の自由」の侵害にあたるかどうかが争点となった。
懲役六月の求刑に対し、一審の東京地裁は「ビラ配りは憲法で保障された政治的表現活動。住民の被害は小さく、刑事罰にするほどの違法性はない」と無罪とした。しかし、東京高裁は「住民の不快感を考えれば被害は軽微ではない」として三人に十万-二十万円の罰金刑を言い渡した。
最高裁判決はビラの内容とは関係なく、ビラを配るという表現の「手段」の是非について検討。「表現の自由の行使でも、官舎の共有地に管理権者の意思に反して立ち入ることは、管理権を侵害し、私的生活の平穏を害する」と指摘した。
さらに官舎の敷地がフェンスで囲われ、出入り口などにビラ配りを禁じた掲示があったことを重視。住民から被害届が出されており「被害が軽微とはいえない」と述べた。
一、二審判決によると、三人は二〇〇四年一月、立川市の防衛庁宿舎内に入って、玄関ドアの新聞受けに「自衛隊のイラク派兵反対」などと書かれたビラを投函(とうかん)。大洞被告と高田被告は二月にも立ち入った。三人は逮捕後、七十五日間にわたって拘置された。
被害内容触れず形式判断
<解説> 立川反戦ビラ配布事件で、最高裁は「住民の私生活の平穏を侵害したのだから、刑罰を科しても違憲ではない」との論理で有罪の結論を出した。
判決はビラの内容ではなく、配布方法の妥当性のみを検討したことを強調し、刑罰が必要なほどの「住民の被害」については具体的に触れなかった。判決がかろうじて言及したのは、官舎の管理人から被害届が提出された事実だが、公判の過程で、その被害届はあらかじめ警察が準備したことが判明している。
自衛隊イラク派遣の是非について国論を二分する議論が続いていた時に、三人は逮捕された。検察は起訴後に「自衛隊関係者の住民に精神的脅威を与えた」とビラの内容を問題視した起訴と明言。この点にまったく触れなかった最高裁の判断には疑問が残る。
自分と異なる意見であっても、存在を許容するのが民主主義社会のはずだ。ビラ配布は市民にとって有用な伝達手段であり、受け取った側は不要なら捨てられる。
そんな穏やかな行為を「罪」として逮捕された上、七十五日間も拘置される国は民主主義国家だろうか。この事件は、市民運動全体を明らかに萎縮(いしゅく)させた。それだけに最高裁は形式判断に逃げず、表現の自由の重みを正面からとらえるべきだった。 (社会部・出田阿生)
<立川反戦ビラ配布事件> 東京・立川基地の在日米軍が横田基地に移った後、自衛隊が使用することに反対した市民らが1972年、市民団体「立川自衛隊監視テント村」を結成。反戦や基地反対を訴えた。2004年1月に「自衛隊のイラク派兵反対!」と書いたビラを各戸の新聞受けに入れるため、隊宿舎の通路や階段に立ち入ったとして、警視庁は翌2月、住居侵入容疑でメンバー3人を逮捕。東京地検八王子支部が起訴した。3人は75日間拘置された。人権団体のアムネスティ・インターナショナルは04年、3人を思想信条を理由に拘禁された「良心の囚人」に日本で初認定した。
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