2008年8月29日金曜日

大野病院事件、地検が控訴断念 産科医の無罪確定へ

ひとまず、ほっとしました。

加藤先生、長い間お疲れさまでした。

一審判決で
>「裁判所の判断を覆すのは困難と判断した」
というなら、何故起訴したのかって思いたくなります。

県警や検察も問題だけれど、賠償保険を使うために「ミスがあったと判断した」福島県当局の判断が事の発端とも思いますね。

県は医師を犠牲にしてお金を出し渋ったという事ですよね。届ければ警察は動くよね、県警だものね。

まあ、どう見てもひどい話ですね。



2008年8月29日 16時41分
共同通信
大野病院事件、地検が控訴断念 産科医の無罪確定へ

 福島県大熊町の県立大野病院で04年、帝王切開で出産した女性が手術中に死亡した事件で、業務上過失致死などの罪に問われた産婦人科医加藤克彦医師(40)を無罪とした福島地裁判決について、福島地検は29日、控訴断念を決めた。無罪が確定する。医療界の猛反発を招いた異例の事件は1審で終結することになった。福島地検の村上満男次席検事は「裁判所の判断を覆すのは困難と判断した」と説明

2008年8月28日木曜日

<大野病院事件>検察、控訴断念へ最終調整

もういいよ。じゅうぶんだよ。

控訴して、今以上の良い結果が得られるとは思わない。

刑事事件の裁判にしてしまえば、結局悪いのは医者だと決めつけてその通りに断罪しないと遺族は納得しない。しかしそのような判決では今度は医療者が納得しない。

結局のところ遺族も医療者も、ともに傷つけあうだけですよ。そうして同じ悲劇は繰り返される。

ご遺族が希望されている「裁判で事実経過を明らかにする」という方向でなく、こうした争いが生じる医療のあり方についての分析と問題解決へ向けての建設的な提案と話し合いが必要だと思う。

刑事裁判では検察側は犯人を作り上げねばならないのでこのケースでは最初から無理がある。(原因探しと犯人探しとは別に考えてほしい)

今、議論されている段階だが有効に機能する第三者機関が設置されて適切に対処ができるようにぜひ国を挙げて取り組んで頂きたい。



<大野病院事件>検察、控訴断念へ最終調整 毎日JP

 福島県大熊町の県立大野病院で04年、帝王切開手術中に患者の女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、福島地裁(鈴木信行裁判長)が業務上過失致死などの罪に問われた産婦人科医、加藤克彦医師(40)に無罪判決(求刑・禁固1年、罰金10万円)を出したことについて、検察当局が控訴を断念する方向で最終調整に入ったことが27日分かった。

 今月20日の福島地裁の判決は、大量出血の予見可能性など検察側主張を一部認めたものの、最大の争点だった「胎盤剥離(はくり)を途中で中止すべきだったか」については「中止して子宮摘出手術などに移行することが当時の標準的な医療水準と認められず、剥離の継続が注意義務に反することにはならない」と加藤医師の過失を否定した。さらに、「剥離を中止しない場合の危険性を具体的に明らかにしなければならないが、検察官は臨床症例を提示していない」と検察側の立証の不備も指摘した。

 福島地検が上級庁と協議を進めているが、女性の症状の「癒着胎盤」は症例が極めて少なく、剥離を中断した臨床例の提示も困難なことなどから、慎重に検討しているとみられる。今回の事件を巡っては、全国の医療関係者が「医師の裁量に捜査機関が介入している」と反発していた。

2008年8月21日木曜日

コンクリート水路でメダカを発見!

            水路の上手は山際に続いている
下手は道路下の暗渠に続いている

        
        よく見ると画面の右上に大きいのが一匹いますよ

いつものワンコとの散歩道。

この近くに家を建てたのは18年くらい前。その頃は多くの水路はまだ自然のままで、ホタルやメダカ、ゲンゴロウなどいろんな水生生物がいた。

でも10年以上前から田んぼの間を通る水路はほとんど全てコンクリートで覆われてしまった。そうして生き物の姿もすっかり見なくなってしまっていた。

でもね、6月のホタルに続いて今朝メダカが生息しているのを発見!

なにげにね、ひょっと見ると水深3〜5cmくらいの水路の水面に小さな波紋が見えたんだよね。アメンボかなあと思ったけどちょっと動きが違う。

目を凝らしてじっとみてたら、見えました。なんとメダカの大群!あっちにもこっちにも、それこそ何十匹といわないくらいの数がいました。

近づくとさっと移動してしまうので、カメラを構えてもうまく撮れませんでしたが5倍のズームで何とかぶれた小さな魚体がいくつか写りました。

この水路を上に辿れば、ホタルの生息する谷川に行き着きます。流れる水も水量は少ないけど澄みきってきれいな水です。

でもね、すぐ下手には道路下を流れる暗渠に注ぐようになっています。

大雨が降ったり、台風が来たりしたらきっと流されてしまうんだろうね、皆・・。

でも、たくましいよね。そんなことをなんども繰り返しながら復活してきたんだものね。

ちょっぴり感動、今朝もとっても得した気分。







2008年8月20日水曜日

判決を支持!「大野病院医療事件」に無罪判決

今回、大野病院で治療の甲斐なく亡くなられた患者さんのご冥福を心からお祈りいたします。
また、ご遺族の皆様の心の平穏が一日でも早く訪れますよう願っています。


今回の「大野病院医療事件」の最大の問題点は「正当な医療行為による結果、残念ながら死亡した」にもかかわらず警察が動き医療事故扱いし、起訴した事にあると思います。判決からもわかるように、このようなケースでは警察の介入は必要ありませんでした。

私はその意味で今回の無罪判決を当然と思い、支持します。

この「事件」によって日本中の医師は「普段通り仕事をしていても、いつ自分が犯罪者扱いされ、起訴されるかるかわからない」という不安を抱いたと思います。そしてこの事件以降、実際にお産を取りやめる医師、医療機関が相次いだ事も確かです。

私自身も外科をしているので、決して人事とは思えませんでした。だからといって仕事を辞めようとか嫌だとは思いませんでしたが、あまり無理はしないでおこうという気にはさせられました。全体としてみれば、医師としてのモチベーションは下がったでしょうね。

もともと「医療」というのは不確実なもので、「絶対」という事がありません。自信たっぷりにおっしゃる方もいるかもしれませんが、実際のところは「おおむねこういう診断」で、治療すれば「このくらいの結果」が期待されるといった程度だと思います。私たち医師は当然ながら診療には全力であたりますが、診断も治療結果も常に100%ではないのです。そのことを十分に納得して頂く事が必要だと思います。

そのためにもいわゆる説明と同意(インフォームドコンセント)が決定的に重要ですが、診断や治療方法、期待される結果、起こりうる合併症などの説明に1時間や2時間かけたところで全くの知識のないかただと本当に理解し納得できるかというと難しいのではないでしょうか。

たとえば、2時間近く手術を含めた治療の説明をしても最後には「よくわからないのでお任せします」と言われる事も少なくありません。
では、4〜5時間ならといわれてもこちらにそれだけの時間がありません。(ときには複数回にわけてそのくらいの時間を費やす事はありますが)
ですので、それを補う意味で説明・同意書という形で文書として取り交わすという事を行っているのが現実です。


まして、緊急の治療などでは詳しい説明は事後になる事も十分にありうる状況です。それでも、結果に100%を求められたら医師はやっていけません。

事故絡みだけではないですが、医師が「これではやっていけない」と感じたらどうなるか。
この数年間を振り返ってみれば、多くの医師はその場から立ち去ります。そうして地域の医療が崩壊していきます。診療科が閉鎖され、病医院が無くなります。

それは、結局は地域住民の医療を受ける権利を奪う事にも繋がります。

ではどうすればいいのか。

医師を一方的にたたくのでなく、何故そうなったのか、そうならないためにどうしたらいいのかを今議論中の「第三者機関」の調査をもとに医師を始めとする職員はもちろん患者、家族が参加して考え改善していく事とが必要ではないでしょうか。
そうしてその結果と教訓を情報共有して普遍化するという事も必要です。

犯人探し、罰則主義では医療は良くならず全く逆効果です。

くどいようですが、「診療行為にかかわる、起こりうる合併症と考えられるもの」に関してはたとえそれが患者死亡という最悪の結果となったとしても刑事事件としての扱いはしてほしくないし、してはならないと思います。

その点で、警察による過剰介入を招いている医師法21条について、判決では
{医師法21条については「診療中の患者が、その病気によって死亡したような場合は、届け出の要件を欠き、今回は該当しない」と指摘した。}
ことも評価したいと思います。




<大野病院医療事件>帝王切開の医師に無罪判決 福島地裁
           毎日JP

 福島県大熊町の県立大野病院で04年、帝王切開手術中に患者の女性(当時29歳)が死亡した事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医(休職中)、加藤克彦被告(40)に対し、福島地裁は20日、無罪(求刑・禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。鈴木信行裁判長は、最大の争点だった胎盤剥離(はくり)を途中で中止し子宮摘出手術などへ移行すべきだったかについて「標準的な医療水準に照らせば、剥離を中止する義務はなかった」と加藤医師の判断の正当性を認め、検察側の主張を退けた。

 加藤医師は04年12月17日、帝王切開手術中、はがせば大量出血する恐れのある「癒着胎盤」と認識しながら子宮摘出手術などに移行せず、クーパー(手術用はさみ)で胎盤をはがして女性を失血死させ、医師法が規定する24時間以内の警察署への異状死体の届け出をしなかったとして起訴された。

 争点の胎盤剥離について、判決は大量出血の予見可能性は認めたものの、「剥離を中止して子宮摘出手術などに移行することが、当時の医学的水準とは認められない」と判断した。医師法21条については「診療中の患者が、その病気によって死亡したような場合は、届け出の要件を欠き、今回は該当しない」と指摘した。

 医療行為を巡り医師が逮捕、起訴された異例の事件で、日本医学会や日本産科婦人科学会など全国の医療団体が「結果責任だけで犯罪行為とし、医療に介入している」と抗議声明を出すなど、論議を呼んだ。公判では、検察、被告側双方の鑑定医や手術に立ち会った同病院の医師、看護師ら計11人が証言に立っていた。【松本惇】

 【ことば】癒着胎盤 一般に分娩(ぶんべん)後、胎盤は自然に子宮壁からはがれるが、胎盤の絨毛(じゅうもう)が子宮筋層に入り、胎盤の一部または全部が子宮壁に癒着して胎盤がはがれにくくなる疾患。発生率は数千~1万例に1例と極めて低い。

 ◇県警刑事総務課長「捜査を尽くした」

 福島県警刑事総務課の佐々木賢課長は「県警としては捜査を尽くしたが、コメントは差し控えたい。細かい争点については(裁判所の判断が)まだ分からないので何とも言えない。県警は医師に注意義務があるとして検察へ送ったが裁判所はそう認定しなかった」と話した。

 ◇産科婦人科学会理事長「救命医療の確立目指す」

 吉村泰典・日本産科婦人科学会理事長は「被告が行った医療の水準は高く、医療過誤と言うべきものではない。癒着胎盤は極めてまれな疾患であり、最善の治療に関する学術的な議論は現在も続いている段階だ。学会は、今回のような重篤な症例も救命できる医療の確立を目指し、今後も診療体制の整備を進める。医療現場の混乱を一日も早く収束するため、検察が控訴しないことを強く要請する」との声明を出した。

2008年8月17日日曜日

稲刈り


早いものだね。

ついこの前、稲穂がでて次第に実がついてきて・・と思っていたら。

昨日と今日の朝、ワンコと散歩に出たらすでに稲刈りがすんでいる田んぼがありました。

今年はまだ台風も上陸はしてないし、あと1週間もすればこの辺りの稲刈りはすんでしまいそう。

こんなに早く稲が育つとは思ってもみなかったのでびっくり。

これなら、たくさん植え付けて収穫すれば食料の自給率も上がるしいいと思うけどな。

話は変わるけど、日本の減反政策はわからない。生産者米価を高く維持するために「米あまり状態」では困るからというのが理由だったような・・。

米は国内生産者を守るために高い関税をかけて安い外米が入ってこないようにしている。
(だけど、経済協力のためとかいってアジアの国から何万トンもの米を買って備蓄米としてストックしてもいるんだよ。これもなぜだかよくわからないけど。)

それでも国内消費が少なくて、米はだぶついているらしい。国が下支えしても生産者米価は上がらないから農家は苦しい。私の知り合いの方に聞いても、今の米価では米作りでは生活していけないんだよ。

そしたら、効率化すればどうかというと、生産農家にたいしては一部で国の指導で集約化して大規模農家として育成してきているけれど機械化し化学肥料や農薬を大量に使う米作りでは採算が取れないらしい。(先日みたテレビ放送)

基本的には、国内での消費をもっと拡大すれば農家はやっていけるんじゃないかな。

つまり、日本人はもっとお米のご飯を食べよう!

それも、外食するのでなくおいしい国産のお米を買って食べよう!

2008年8月9日土曜日

「医学部定員枠、500人増へ」は賛成!

「医学部定員枠、500人増へ」は賛成!

遅まきながらやっとここまで来たかという気はしますが、まだまだ実現への道のりは遠いかな。

とりあえず、入学枠を増やして入学させたとする。しかし、大学もそれに見合った教員の確保は容易ではない。

そもそもすでに大学自体が医師不足になっていて、派遣先から引き上げて何とか持たせているのが現状なんだからそこをどうするのか。まずは予算措置が必要ですよね。

国立大学にしても、もともと独立法人化させて経営を切り放して毎年交付金(補助金)を定率(2%だったかな)でカットしてきている。国はお金をださないので自分で稼いで運営しなさいという事ですよ。

これではほんとに必要なポストも十分に確保できないし、賃金を始めとして過密労働など労働条件が悪すぎて大学に残って教官をめざそうという様な医学生はほとんどいなくなってしまった。

じっさいのところ、今までにかなりの大学の教官が辞めて公立や民間の病院へ転出してしまっているのですよ。診療科にもよるけど層が薄くなって十分な教育・診療レベルを維持する事も難しくなってきている。

ある大学の麻酔科では、下の教室員が一度に辞めていっとき教授一人しかいなくなってしまった事があるくらいです。

基礎医学系ももっと厳しくて、知り合いのある教授に聞いた話ではある教室の教授自身が「辞めたい」とおっしゃっているそうです。でも、辞めるとその教室・講座そのものが消滅するので今のところは辞めるに辞められないでいるそうです。


で、大学から外へ目を移してみると医師不足による公立病院の統廃合や、経営困難が進行して廃止される病院の話などであふれ返っています。「地域の医療が崩壊」してきているのですね、すでに。

こうした病院は、その地域の人々に必要な医療を提供すると同時に医師の養成に大きな役割を果たしてきていたわけです。管理職や部長クラスは別として、主には大学からのローテーションで回ってきていて、臨床医としての経験を積む貴重になっていたと思います。医療崩壊の進行で、今はそれが機能しなくなってきていると思います。

これも、国の低医療費政策による弊害だと思います。毎年2200億円も社会保障費を削り続けて、病院の採算が取れなくなるのは当たり前。給料はカットされるし、展望が見えなくなって医師も辞めていくのではどう見てもやって行けませんよ。

まだまだあるけど、要は定員を増やすのは良い事だけど必要なお金を大学に支出する事と医療費の抑制政策をやめて病院経営が健全になるように国が応援する事ですね。

掛け声だけでなく実現のための人とお金と両方いりますよ。文科省だけでなく財務省もご理解ください。

財政上のつじつま合わせばかり気にしてたら、「国の財政上は健全化したけど国民生活が破綻した」なんて事になりますよ。それこそなんのための財政再建やら・・。





>医学部定員枠、500人増へ 医師不足問題で文科省

 深刻化する医師不足問題に対応するため、文部科学省は5日、来年度の大学医学部の総定員枠について、本年度より約500人増員し、過去最大だった1982年度と同じ8280人程度とすることを正式発表した。

 定員増に必要な実習施設の整備費を国が補助するなど、各大学の取り組みを促す方策も示した。

 急な増員には大学側が対応できないとの懸念もあるが、文科省は「緊急の課題なので、来年度から定員枠をすべて埋めたい。各大学も、かつての定員に戻すのが狙いなので、何とか受け入れてもらえるのではないか」と期待している。

 文科省は今後、9月22日を期限に各大学から増員数について意向を聴取。医師が不足している地域の医療機関との連携など、各大学に提出を求める地域医療への貢献策を検討した上で、年末までに増員を認めるかどうか判断する。

2008/08/05 19:45 【共同通信】