2008年8月9日土曜日

「医学部定員枠、500人増へ」は賛成!

「医学部定員枠、500人増へ」は賛成!

遅まきながらやっとここまで来たかという気はしますが、まだまだ実現への道のりは遠いかな。

とりあえず、入学枠を増やして入学させたとする。しかし、大学もそれに見合った教員の確保は容易ではない。

そもそもすでに大学自体が医師不足になっていて、派遣先から引き上げて何とか持たせているのが現状なんだからそこをどうするのか。まずは予算措置が必要ですよね。

国立大学にしても、もともと独立法人化させて経営を切り放して毎年交付金(補助金)を定率(2%だったかな)でカットしてきている。国はお金をださないので自分で稼いで運営しなさいという事ですよ。

これではほんとに必要なポストも十分に確保できないし、賃金を始めとして過密労働など労働条件が悪すぎて大学に残って教官をめざそうという様な医学生はほとんどいなくなってしまった。

じっさいのところ、今までにかなりの大学の教官が辞めて公立や民間の病院へ転出してしまっているのですよ。診療科にもよるけど層が薄くなって十分な教育・診療レベルを維持する事も難しくなってきている。

ある大学の麻酔科では、下の教室員が一度に辞めていっとき教授一人しかいなくなってしまった事があるくらいです。

基礎医学系ももっと厳しくて、知り合いのある教授に聞いた話ではある教室の教授自身が「辞めたい」とおっしゃっているそうです。でも、辞めるとその教室・講座そのものが消滅するので今のところは辞めるに辞められないでいるそうです。


で、大学から外へ目を移してみると医師不足による公立病院の統廃合や、経営困難が進行して廃止される病院の話などであふれ返っています。「地域の医療が崩壊」してきているのですね、すでに。

こうした病院は、その地域の人々に必要な医療を提供すると同時に医師の養成に大きな役割を果たしてきていたわけです。管理職や部長クラスは別として、主には大学からのローテーションで回ってきていて、臨床医としての経験を積む貴重になっていたと思います。医療崩壊の進行で、今はそれが機能しなくなってきていると思います。

これも、国の低医療費政策による弊害だと思います。毎年2200億円も社会保障費を削り続けて、病院の採算が取れなくなるのは当たり前。給料はカットされるし、展望が見えなくなって医師も辞めていくのではどう見てもやって行けませんよ。

まだまだあるけど、要は定員を増やすのは良い事だけど必要なお金を大学に支出する事と医療費の抑制政策をやめて病院経営が健全になるように国が応援する事ですね。

掛け声だけでなく実現のための人とお金と両方いりますよ。文科省だけでなく財務省もご理解ください。

財政上のつじつま合わせばかり気にしてたら、「国の財政上は健全化したけど国民生活が破綻した」なんて事になりますよ。それこそなんのための財政再建やら・・。





>医学部定員枠、500人増へ 医師不足問題で文科省

 深刻化する医師不足問題に対応するため、文部科学省は5日、来年度の大学医学部の総定員枠について、本年度より約500人増員し、過去最大だった1982年度と同じ8280人程度とすることを正式発表した。

 定員増に必要な実習施設の整備費を国が補助するなど、各大学の取り組みを促す方策も示した。

 急な増員には大学側が対応できないとの懸念もあるが、文科省は「緊急の課題なので、来年度から定員枠をすべて埋めたい。各大学も、かつての定員に戻すのが狙いなので、何とか受け入れてもらえるのではないか」と期待している。

 文科省は今後、9月22日を期限に各大学から増員数について意向を聴取。医師が不足している地域の医療機関との連携など、各大学に提出を求める地域医療への貢献策を検討した上で、年末までに増員を認めるかどうか判断する。

2008/08/05 19:45 【共同通信】

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