2008年2月11日月曜日

ダーウインの悪夢

「ダーウインの悪夢」というDVDを観ました。ベルギーのスタッフによるドキュメンタリー映画。1950年代、アフリカのヴィクトリア湖にナイルパーチというブラックバスに似たもっとももっと大きく育つ肉食魚が故意に放流された。それまでの在来種のほとんどの魚を駆逐しながらナイルパーチは繁殖を続けた。
 
ナイルパーチの肉は3枚に下ろせばきれいな白身でヨーロッパ人の好みの味。EUからIMFなどの資金援助を受けた魚肉加工工場がヴィクトリア湖畔に林立。経営者はもちろんヨーロッパ人。アフリカの漁民はひたすらナイルパーチを漁獲して安い値段で加工工場に売る。加工工場では白身の部分だけをEU向けに加工。ヨーロッパでは毎日200万人が食べている。加工することによって値段は上がり、現地の人にはとても買えない高価な商品となる。これは、輸出専用の魚。
 加工して残った頭と背骨についた肉は現地の貧しい人の食糧になる。工場からトラックで大量に捨てられる、すでにウジの湧いた残骸を処理して油で揚げて現地人向けに売る。現地の人々はこの残骸しか口にすることはできない。そうして、湖は水質汚染、富栄養化という緩慢な死に向かってつきすすむ。
 
 もう一つ、この話の裏にはヨーロッパからアフリカへの武器輸出の温床となっていることだ。ルワンダの空港には魚の輸出のための飛行機が絶え間なくやって来る。空荷でやって来るのではなく、アフリカ諸国に売る武器や弾薬を積んでやってくる。それは、秘密裏に荷卸しされてアフリカの絶えることのない紛争を支え続ける。ヨーロッパの武器商人はここでも金を巻き上げていく。そうしてアフリカには暴力と貧困だけが増殖する。
 
ヴィクトリア湖畔に住む人々は貧しい。そこへエイズの蔓延。男達は次々とエイズに倒れていく。残った女はしかたなく売春婦となり、さらにエイズを広げ自らもその犠牲となる。残された子供たちに未来はない。発展途上国を舞台にして肥え太るヨーロッパの資本の残虐さを見た。
 
でも、日本も同じようなことをアジアの各地でしている。結果として日本の農業をつぶし、少しでも人件費の安いアジアで農作物を作って日本に輸入する。それも日本向けの現地の人が食べられないような高い農作物をね。それを安い事を良いこととして日本人が食べている。中国産の野菜がなくしては日本の台所は成り立たないほどまでに依存度を高めている。そんなことに気がつかなかったのだよ。「農薬混入のギョウザ」事件が起こるまではね。
 
ただ安ければいいと思って儲かればいいと思って、官民が一緒になってこの事態を引き起こしたんだよ。

 目覚めようよ。日本の食料の自給率を高めること。少し高いかもしれないけど国産の農作物を優先して食べること。それが私たちの安全・安心とともに日本の農家を助ける。ひいてはアジアの農業を助ける。世界の農業を助ける。今の時代、すべてが グローバル。全てのことが世界と連鎖している。
 
資本主義の行き過ぎた暴走を許してはいけないよ。

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