昨年来、新規の方の認定が軽め軽めの介護度になるのでおかしいとは思っていた。それがさらにすすんだ形だよ。コレって絶対に許せないな。
いつも思うけど、厚労省って何考えてるんだろう。
新介護認定4月スタート 寝たきりでも「自立」
配信元:産経新聞2009/03/30 10:55更新
■厚労省マニュアル 批判殺到、直前に修正
介護保険の新しい要介護認定が4月から始まるのを目前に、市民団体などが厚生労働省の作成したマニュアルを「一般常識に反する」と批判、厚労省が修正する騒動になった。問題になったのは、訪問調査員が高齢者宅などで行う認定調査のマニュアル。修正版の公表が実施のわずか1週間前とあって、スタート時の混乱は必至だ。(寺田理恵、竹中文)
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寝たきりでも「自立」。口から食べられず、静脈に栄養補給を受けていても「自立」。ちぐはぐな表記は、認定調査員が使うマニュアル「認定調査員テキスト2009」だ。要介護認定=別項=を行うためのもので、厚労省が作成した。
しかし、公表されるやいなや、認定を行う専門職らから「軽度化を促すのでは」「自立になるとは思いもしなかった」など、疑問の声が上がり、利用者側からも批判が相次いだ。
「認知症の人と家族の会」(本部・京都)は今月、「日本語の使い方として非常識。認定結果が実情とかけ離れることが危惧(きぐ)される」として、「移動・移乗」「食事摂取」「買い物」など8項目を挙げ、厚労省に改善を求めた。
こうした事態を受け、厚労省は「利用する方への説明が足りず、誤解が生じてしまった」(鈴木康裕・老人保健課長)と、マニュアルの一部修正を決めた。
批判された選択肢の「自立(介助なし)」の文言を、「介助されていない」に変更。
さらに具体例の内容変更が3点。家族の会が示した項目では、「移動・移乗」で「自立(介助なし)」とした事例を、条件をつけ「全介助」に。「買い物」では、家族の手間などを加味し、「できる」を「一部介助」に。ほかに、「金銭の管理」の項目も修正した。
鈴木課長は「『自立』の言葉には、利用者の抵抗感が強い。もともと、これらは、介助がどの程度必要かを聞く項目。自立しているかどうかといった『能力』を聞くわけではない」と修正の理由を説明する。
しかし、実施1週間前の変更に、現場では戸惑いが広がる。神奈川県のある認定調査員は「4月までわずかな時点での変更で、現場は混乱している。説明会が行われても、参加する時間もないし、紙が1枚ぺらっと来るだけだと、周知されるのかも不安だ。解釈に違いが生じかねない」と不安を募らせる。
認定調査をめぐっては、以前から「訪問調査員によって判断にばらつきがある」との指摘があった。
例えば、食事摂取で「骨を取る・ほぐす」の行為は、目の前で行うか、厨房(ちゅうぼう)で行うかによって、判断がばらばらだった。厚労省としてはばらつきの解消をねらい、具体例を示したが、それが裏目に出た格好だ。
家族の会の高見国生代表は「誤った日本語であると気付いていただいたのだと思う」と一定の評価をした上で、「8項目は例示にすぎない。私たちが求めるのは、実情を的確に反映した認定が行われること。4月以降、認定結果について会員へのアンケートを行うなどして、問題点を把握し、改善すべき所は要望していきたい」と話している。
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「認知症の人と家族の会」が例示した項目と修正部分
(1)移動・移乗
・重度の寝たきり状態などで調査日から過去1週間その機会がまったくない場合は「自立(介助なし)」
→体位交換の際に介助が行われていれば「全介助」に修正
(2)食事摂取
・小さく切る、ほぐす、皮をむく、魚の骨をとるなど、食べやすくすることは介助に含まれないため「自立(介助なし)」
・中心静脈栄養(静脈に高カロリー輸液を補給する栄養法)のみで口からまったく食べていない場合は「自立(介助なし)」
(3)口腔(こうくう)清潔・洗顔
・行う習慣がなく介助がされていない場合は「自立(介助なし)」
(4)意思の伝達など認知機能
・ふだん、ほとんど答えられなくても、調査の際に答えられれば「できる」
(5)自分の名前
・旧姓しか答えられなくても「できる」
(6)買い物
・品物を選び、代金を支払っていれば、無駄な買い物をしていても「できる(介助なし)」
→買い物の適切さについては問わないが、支払い不足、未払いなどがあり、家族などが返品、精算などの介助を行っているような場合は「一部介助」に修正
(7)薬の内服
・たとえ飲む時間や量を間違えても、自分で飲んでいれば「自立(介助なし)」
(8)物や衣類を壊す
・上着をファスナーのものに変えたため、ボタンをちぎらなくなった場合は「ない」
*このほか「金銭の管理」の項目で、無駄な買い物、適切な財産管理など、金銭使用の適切さについては問わないとしていたが、所持金以上の契約を行った後で家族などが精算・契約解除などの介助をしている場合は「一部介助」に修正
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【用語解説】要介護認定
介護保険サービスの利用を希望する人の状態を、要支援1から要介護5までの7段階に区分する制度。訪問調査員が認定調査で把握した情報などをもとに、コンピューターによる1次判定で介護にかかる時間を推計し、介護認定審査会での2次判定を経て決定する。「非該当」と判定する場合もある。