2009年1月21日水曜日

オバマ米新大統領の就任演説

本日、とうとうオバマが44人目のアメリカ合衆国大統領に就任した。

一応、アメリカでは人種的には黒人と分類されるオバマが大統領になったことはアメリカにとって画期的なことには違いない。

確かに喜ばしい「change」だろう。それもとびっきりの。

しかし、手放しで喜べる話ではない。

就任演説を読んでの私の感想を一言で言うなら・・、「痛々しい」ということだ。

晴れて大統領になってなんと多難な船出であることか。

今までの政権、特にブッシュ政権が犯した罪、政策の誤りによって引き起こされたアメリカ社会と経済の歪みは計り知れないほどに大きく、深い。しかも、全世界を飲み込むほどに日々悪化してきている状況だ。

今日の就任式の華やかさの裏には明らかに醒めた冷ややかなアメリカがある。

その明らかな証拠は、アメリカの市場の反応だ。
米国株は就任式当日の下げ幅としては過去最大の下げ幅を記録した。
そう、大統領が代わったからと言ってすぐに何かがよくなると考える人は少ない。

それほどまでにアメリカのみならず、世界の市場が悲観的になっているということだ。

金融資本主義によるマネーゲームに溺れて製造業などの実体経済を軽視してきたアメリカ。
ここにきてビッグスリーが果たして立ち直れるのか?
韓国やアジアの台頭が著しいIT分野でいえば世界をリードしてきたシリコンバレーはどうなんだ?
アメリカでの雇用を守る道筋は容易ではない。
これから世界と競って勝ち抜ける分野が実際どれだけあるのだろう。


いつもどこかで戦争をしてきたアメリカ。
ナチスを始めとするファシズムと戦った時のように正義のために、自己の生存のために必要だったこともあるだろう。
しかしそれと同列にベトナムで共産主義と戦ったとオバマは言うが、あの戦争は民族自決という観点からすればいらぬお節介でしかなかった。アメリカ自体が危機にさらされたわけでもないのに、共産主義が広がると焚きつけてたくさんのベトナム人を殺し、多くのアメリカの青年の命を奪った戦争だった。

今もイラクで、アフガニスタンで戦争をしているアメリカ。
兵士だけでなく罪のないたくさんの人々を殺し、殺人マシンに仕立てられたアメリカ兵士が殺され続けている。
イラクではすでに9・11で亡くなった人よりはるかに多くののアメリカ兵士が死んだ。
アメリカによる不法な侵略の結果、イラク国内は混乱を極めイスラム教徒による世界へのテロの危険は却って増大した。
イラクからの撤退を決めるのは遅すぎたくらいだが、アフガニスタンだって同じだ。いまさら増派をしてどうする。よく考えて欲しい。

アメリカは世界中で戦争をやめるべきだ。独善的な正義は振り回さないで欲しい。
力の政策でなく、平和的な貢献方法ならいくらでもあるだろう。環境問題にしたって、戦争は最大の環境破壊・汚染だ。やめるだけで大きな貢献をすることになる。
戦争しか知らないブッシュ。善と悪にしか世界をわけられないブッシュ。最後まで自分の悪に気がつかないブッシュ。ブーイングに送られて彼は故郷に帰っていった。

新しい大統領のオバマには世界に平和のメッセージを送って欲しい。
その中でこそ、アメリカと世界の社会の安定と経済の発展があるだろう。

その先に今までの独善的で野蛮なアメリカでなく、世界から尊敬される自信に満ちたアメリカの姿があると思う。
オバマに、これからのアメリカに本当の意味での「change」を期待する。

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